【海外留学中の就活ガイド】留学中の就職活動を成功させるために

海外留学と、日本での就職活動を両立させたいと思う学生の方は多いと思います。この記事では、留学中の就活を成功させるために知っておくべきポイントや実践的なアドバイスを提供します。留学の経験は、グローバルな視野や異文化理解、語学力といった面で就活において強力な武器となりますが、その価値を最大限に活かすための就活戦略が求められます。そこで、留学前、中、後の各タイミングでの対策や、留学生特有の課題について解説していきます。

目次

留学中でも就活を成功させられる3つの理由

job hunting

留学中の就活は一般的な就活とは異なる難しさがありますが、近年のテクノロジーの進化やCOVID-19の影響、そして企業の意識の変化によって、より成功への道が広がっていると言えます。具体的な理由として、以下の3点を挙げることができます。

1. オンライン就活の一般化

COVID-19の影響で企業は新卒採用の選考をオンラインに切り替えざるを得なくなりました。しかし、いざ実施してみるとその利便性や効率性を認識し、今ではオンライン選考が主流となりました。確かに、サマーインターンや最終面接などを対面で行う企業も復活してきてはいますが、今後もオンライン選考が中心となる流れは変わらないと予想されます。地理的な制約がないオンライン選考は、留学中に就活を進めたい学生にとって最大のチャンスと言えるでしょう。

2. 通年採用や新卒扱いの期間の拡大

留学中に就活をする際に悩みの種として、留学によって卒業時期がズレることや、一般的な就活スケジュールに乗り遅れること、場合によっては卒業後の就活を検討せざるを得ないことが挙げられます。しかし、一般社団法人 日本経済団体連合会の「採用と大学改革への期待に関するアンケート結果(2022年1月18日)」によると、新卒者の「通年採用」を実施する企業は経団連会員企業の33%、今後5年程度先に実施する企業は55%に上るというデータが示されています。また、経団連会員企業の9割以上が既卒者の「通年採用」を実施しています。

その代表的な一例として、株式会社リクルートは、「就職活動の時期は一律ではなくそれぞれが望むタイミングであって良い、将来を考える時期は多様であって良い」という考えのもと、「通年採用」や「30歳まで応募可能」などの取り組みを行っています。このような動きは、留学中の学生が就活を考える際の大きな安心材料となります。

3. 海外留学生向けの就職サービスの充実

ボストンキャリアフォーラムロンドンキャリアフォーラムといった、日本人学生を対象とした海外開催の就活イベント、そしてマイナビ国際派就職のような留学生向けのサービスが増加しており、海外留学生へのサポートが大きく充実してきました。さらに、日本国内の学生向けサービスも、留学生への情報提供や求人掲載を強化しています。

これらの動きの背後には、企業が国際的な経験を持った人材の重要性を高く評価していることがうかがえます。この傾向は、今後のグローバル化が進むビジネスシーンにおいてさらに加速することが予想されます。

留学中に就活をする上で乗り越えるべき課題

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留学中に就活を進めることは、以前よりも容易になってきてはいるものの、いまだに一定の課題が存在します。

対面で得られる情報の少なさ

現代はオンライン上でさまざまな就活関連の情報や企業の情報を容易に取得することができます。一方で、留学中の学生にとって、日本国内で行われる対面の説明会や対面のインターン、オフィスツアー等に参加することは難しく、これらのイベントでは得られるリアルな企業の雰囲気や社員の方への直接の質問の機会を逃してしまうことが少なくありません。

このような対面の場でしか得られない情報や体感は、オンライン上の情報だけでは補いきれない部分があるため、留学中の学生は情報収集の際に一層の工夫や努力が求められます。

時差対応の難しさ

留学中の学生が日本の企業の選考に参加する際、時差の問題は避けられない課題となります。例えば、日本とアメリカを例に取ると、日本の夕方に実施されるオンライン面接がアメリカの深夜になる場合があります。これにより、体調の管理が難しくなるだけでなく、集中力やパフォーマンスの低下も懸念されます。

さらに、留学先の寮やホームステイ、ルームシェアの環境下では、深夜の時間帯に面接やオンラインのイベントに参加することで、声量や生活音に気を使う必要が出てきます。これが、自分のベストを尽くすことの妨げとなることも少なくありません。このように、時差の問題は単なる面接の時間帯の問題だけではなく、情報収集やコミュニケーション、そして実際の面接の質にも影響を及ぼす重要な課題です。

留学生活への悪影響

留学中の就活は、貴重な留学体験に悪い影響を及ぼす可能性があります。最も顕著なのは、留学中の貴重な時間を就活に多く割くことで、留学そのものを十分に楽しめないという点です。多くの留学生が求める現地の文化体験、友人との交流、観光などのアクティビティが制約を受けることが考えられます。例えば、友人から夜のパーティに誘われても、面接が入っており参加できない事態が考えられます。

さらに、先に挙げた時差の対応の問題により、体調を崩すリスクも高まります。深夜の面接や、連続した選考プロセスは、睡眠不足やストレスを招き、健康に影響を及ぼす可能性があります。

また、留学の大きな目的の一つとして、現地の言語スキルの向上を目指す学生も多いでしょう。しかし、就活を進める過程で日本語を多く使う時間が増えると、英語などの現地の言語の使用機会が減少し、言語習得のペースが鈍る恐れも出てきます。

このように、留学中の就活は留学生活そのものの価値を損なう可能性があり、上手にバランスを取る必要があります。

留学前・中・後のタイミング別就活対策

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留学中の就活を成功させるためには、留学前、留学中、留学後と、それぞれの時期に合わせて効果的な対策を取ることでが重要です。以下に、それぞれのタイミングでのおすすめの対策を詳しく解説します。

留学前

留学前は、時間的にも心理的にも一番余裕がある時期のため、就活においてやるべきことの多くに着手することをお勧めします。

  • 自己分析:自分の強みや適性、そして短所を深く探求し、目指す業界や職種を明確にすることで、的確な志望動機を後で形成する材料を得られます。また、留学を通じて何を得たいのか、留学の経験をどうキャリアに活かしたいのか明確にしておくと良いでしょう。
  • 情報収集・企業研究:様々な企業の最新情報や業界動向を収集し、その中で興味がある企業、適性がありそうな職種に目星をつけます。留学を経て価値観が変化し、志望する企業が変わることも大いにあり得るので、絞りすぎず幅広く情報を集めることが大切です。
  • 筆記試験の勉強:留学中は課題などに追われ筆記試験の勉強に専念する時間が少なくなる可能性があるため、前もってしっかりと基礎を固めておきましょう。また、参考書なども海外では手に入らないので、前持って購入しておきましょう。
  • 留学中の就活スケジュールの作成:授業や留学生活と両立しつつ、効率よく就活を進めるためのスケジュールを計画的に作成します。特に、海外で開催されるキャリアフォーラムに参加する場合、開催日から逆算してスケジュールを作成する必要があります。

留学中

留学先での経験やネットワークを最大限に活用しつつ、就活を着々と進めましょう。

  • ESの作成:留学で得た経験や学びを活かし、独自性のあるエントリーシートを作成しましょう。
  • 面接練習:留学を通じて得た国際的な視野や経験をアピールポイントとして活用するための練習を繰り返し行いましょう。
  • 就活仲間を作る:情報交換やモチベーションを高め合うためにも、留学先で一緒に就活を頑張る仲間や、既に留学中の就活を経験している先輩を見つけましょう。
  • 応募し、面接を受ける:前述した通り、企業の採用面接はオンラインが一般化しつつあるので、留学中であっても日本での就活と同じように企業に応募し、面接を受けましょう。面接が対面指定だった場合でも、人事の担当者に連絡を取って事情を説明することで、オンラインに変更してもらえる場合があります。
  • 日本企業の海外支社、外資企業の本社で働いている社員へのOB/OG訪問:海外の主要都市では、日本企業が支社を構えていたり、外資企業が本社や支社を構えていることが少なくありません。そこで働いている社員の方に話を聞くことは、視野を広げたり、志望動機を作るのに役立ちます。
  • 海外のキャリアフォーラムへの参加1番の山場となります。ボストンキャリフォーラムや、ロンドンキャリアフォーラムなどへの参加を通じて、内定を獲得しましょう。イベント自体は対面で数日間に渡って行われますが、事前の選考は数ヶ月前から実施されるため、乗り遅れないためにも情報収集を徹底しましょう。

留学後

帰国後の就活は、その過程において最終局面となります。しかし、留学中の就活や海外キャリアフォーラムでの結果が思うように得られなかった場合でも、過度に焦ることは避けましょう。留学という貴重な経験を活かし、持っているスキルや知識を前面に押し出して最後まで戦い抜くことが重要です。日本国内の企業は、留学経験を持つ学生のグローバルな視点や柔軟性を高く評価しているので、自信を持って日本国内での就活に臨みましょう。

  • 日本での留学生向けキャリアフォーラムの参加:東京サマーキャリアフォーラムなど、日本で行われる留学経験者向けのキャリアフォーラムに参加しましょう。海外開催のイベントより参加ハードルが低いため、その分参加者も多く競争が激しいと思われますが、留学で得た経験に自信を持って臨みましょう。
  • 対面選考への参加(特に最終面接):選考過程の大部分はオンラインでも、最終面接は対面という企業は少なくありません。キャリアフォーラムで内定を得る、もしくは帰国後に最終面接が控えているというのが、最も理想的な状態と言えます。

まとめ

留学中の就活は、オンラインの普及や留学生向けのサービスの充実、採用の柔軟性拡大により以前より容易になってきています。一方で、情報収集の難しさや時差対応、留学の質の低下といった課題も伴います。留学中の就活の成功の鍵は、留学の前・中・後での適切な対策を取ることです。留学前は自己分析や情報収集に焦点を、留学中は海外のキャリアフォーラム参加を、留学後は国内のキャリアイベント参加や対面選考に努力を向けることが重要です。

海外留学と就活をうまく両立することで、自分のキャリアや人生をより良いものにする経験と結果を収めましょう。

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この記事を書いた人

アメリカのシアトルに留学中。青山学院大学在学中に、TikTokとMicrosoftの日本法人での長期インターンを経験。大学4年時に、シアトルのUniversity of Washingtonに留学。現在はアメリカのスタートアップに勤務。

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